4/36
前へ
/36ページ
次へ
「ありがとうございます、この春の新シリーズにも起用して頂いて感謝しています。」 「君が小さな広告のモデルをしたのを見た時から大物になると思っていたんだ」 爆発的な人気もないモデルが、 一流企業の専属として起用される。 大概は、 【枕営業】が、噂されてしまうのだけれど、 私は、 その類いの誘いは ( HISEIDOや他のメーカーの宣伝部 も含め ) 断りながら仕事をしてきた、 珍しくクリーンな売り出しが成功したケースだった。 …………のだけれど、 「紅子は、HISEIDOの社長と、 海外大手の化粧品メーカーの来日の時の専属コールガールらしい」 表立っては書かれなかったけれど、 事実とは違う噂が、業界では流れてしまっていた。 時同じくして、 「マネージャー抜きで会えないかな?」 HISEIDOの社長から、 個人的に誘われるようになってきた。 「…………わかりました」 断れるはすがなかった。 恋人もいたわけじゃない、 モデル一筋だった私。 いつの間にか、父親よりも年上の社長と、 関係することが仕事の一部のようになってきた私。 ____きっと、 氷のような顔をして、撮影に臨んでいたに違いない。 「最近、顔変わったんじゃない?」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加