紅-2

4/7
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
私の露出が減っていく一方で、弟の潤平の活躍は飛躍的に注目も浴びていた。 men'snon・nonの専属モデルになったり、 日本人代表として、デザイナーズコレクションにも出るようになっていて、 私がいなくても、 潤平は、大丈夫なような気がしていた。 母親は違っても、日本に来て直ぐに仲良くなれたのは、 あの子が明るくて強い子だったから。 「こんにちは、紅子さん、俺カメラマンの山本です。紅子って呼んでいい?」 出発の当日、 薫の親友だというカメラマンに青山のカフェで落ち合った。 ニット帽をかぶり 強面で、ちょっとだけ悪そう。 「俺、見た目も口も悪いけど、基本女性、特にモデルには優しいんだよ」 「大学時代の薫って、どんなだったの?」 ロサンゼルスまでは一緒に行ける山本さんは、 「薫?名前もアレだし、おねぇかと思ったよ。男の癖に綺麗な顔してたからさ! 金持ちっぽかったから、仲良くなれなかったら、カツアゲでもしてやろうなって」 確かにちょっと、口が悪いけれど気さくで話しやすかった。 「……カツ………大学生にもなって…」 「冗談だよ!話してみたら案外面白い奴だった。クールで、そ んでもって、女にはモテまくり。 俺もつるんだお陰で、女には苦労しなかった」 昔を懐かしそうに話す山本さんが、 私の背後に視線を移す。 「…………?」 「紅子、お前に用があるみたいだぞ」 私たちの席の後ろに誰かいる気配___ 振り返ると、 「こ、こんにちは!」 いつだったか雑誌で見た、 未来化粧品の新人モデルの………… 緊張した顔のMIHOが立っていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!