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私の露出が減っていく一方で、弟の潤平の活躍は飛躍的に注目も浴びていた。
men'snon・nonの専属モデルになったり、
日本人代表として、デザイナーズコレクションにも出るようになっていて、
私がいなくても、
潤平は、大丈夫なような気がしていた。
母親は違っても、日本に来て直ぐに仲良くなれたのは、
あの子が明るくて強い子だったから。
「こんにちは、紅子さん、俺カメラマンの山本です。紅子って呼んでいい?」
出発の当日、
薫の親友だというカメラマンに青山のカフェで落ち合った。
ニット帽をかぶり
強面で、ちょっとだけ悪そう。
「俺、見た目も口も悪いけど、基本女性、特にモデルには優しいんだよ」
「大学時代の薫って、どんなだったの?」
ロサンゼルスまでは一緒に行ける山本さんは、
「薫?名前もアレだし、おねぇかと思ったよ。男の癖に綺麗な顔してたからさ!
金持ちっぽかったから、仲良くなれなかったら、カツアゲでもしてやろうなって」
確かにちょっと、口が悪いけれど気さくで話しやすかった。
「……カツ………大学生にもなって…」
「冗談だよ!話してみたら案外面白い奴だった。クールで、そ んでもって、女にはモテまくり。
俺もつるんだお陰で、女には苦労しなかった」
昔を懐かしそうに話す山本さんが、
私の背後に視線を移す。
「…………?」
「紅子、お前に用があるみたいだぞ」
私たちの席の後ろに誰かいる気配___
振り返ると、
「こ、こんにちは!」
いつだったか雑誌で見た、
未来化粧品の新人モデルの…………
緊張した顔のMIHOが立っていた。
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