紅-2

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「約束守らなかったわね」 社長婦人が言ってるのは、 ____ ″ 薫 ″ のこと。 「……………彼を……自由にしてあげてください」 実の母親なのに、息子を抱くなんて、 普通じゃない。 オカシイ。 「あの子には幸せになって欲しいの。会社を継いで、 男女の間の愛情なんてすぐ終わるんだから、恋愛事は適当に経験して、 私のそばでいい男に成長してくれるのが願いなの、だから、邪魔しないでもらえる?」 「だけど、近親相姦なんてっ……」 隣の車に向かって反論しようとすると、 ガチャ!! 後部座席のドアが開けられた。 「!!」 いつだったか、私を拉致していった男達の再登場に、一気に血の気が下がる。 そして、 その背後に、 「紅子さん」 この間、私を襲おうとした、大塚整形外科医が立っていた。 「……なんで?」 私の腕を引っ張り、車から引きずり出そうとする男達に、 「誰かに見られたらどうするんだ?どきなさい」 やや命令口調で、動きを止めて 「眠ってる間に旅行へ行くのもいいかもね」 代わりに乗り込んできた大塚は、 山本の突然の羽交い締めの手助けをうけながら、 私に 薬をかがせた_____ おそらく睡眠薬だったとおもう。 ※(注)実際には、一瞬で人を気絶させられる薬はありません。
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