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「まさか、こんな事になるなんて思ってないから道具は何一つないんだよね」
SM好きの大塚医師は、私の上着の袖を引っ張り、
コンテナの中を見回している。
「あれ……泣いてるの?まだ、何もしてないのに?」
そして、一瞬、
死ぬことを考えた私の口元を背後から触り、
「君が死んだら香港へいく意味は無くなる。そしたら、お父さんも薫君も
魚のエサになるだけだよ」
それさえも許さない鬼の言葉を私の耳に続けた。
「もし、君が香港で売れなかったら、
生まれ変わったHISEIDOの専属モデルになれるように、目の前の男達に懇願するといい」
紅子を使い、速鷹家を陥れて
薫を裏切った男達の前に、
涙が止まらない私を 乱暴に差し出すように押し付けて、
「ま、綺麗な内蔵があるからそれはないか。
俺は人前でノーマルでヤる趣味はない。
香港着くまで君たちで遊んでてくれよ」
自分はコンテナの入り口でタバコを吸い始めた。
「本当に鬼畜だな、あの人。
……親の前で娘犯させるか?」
「この間の懇親会では、遊べなかったね、
MIHOちゃん」
躊躇いながらも、
私の身体に触り始める男達____
「ま……」
″ 待って ″
そう言いたかった、
私の代わりに、
「待て」
自由に動けない薫が、
こちらに向かって声を発した。
「その子には、何もするな」
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