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「…………なに、お前 汗フェチ?」
抵抗することなく、
抱き締めてきた私の両腕を、そっと掴んだ薫は、
「美穂が昇るのは、トップモデルへの階段だろぉが」
振り返って、
私が首にかけていたタオルで、
「あ」
自分の顔の汗を拭き始めた。
「せっかくヨガで歪みも正された体型なんだ、
無駄なもんつけるなよ?
だからお前はウーロン茶で飯くえ。
そうだ、また、エビチリ食うか?」
…………薫も、覚えてるんだね。
出会って始めて二人で口にしたもの。
「中華って太りそうだから、和食でお願いします」
「お、意思だすようになったな」
まだ、HISEIDOの社長でもなくて、
会社を増大させていたであろう、数年前
薫は、あの時、
何を見て、
何を目標にしていたんだろ?
「必ずお前は成功するよ」
あの時の小さな私を
こんなところまで引っ張って来てくれたのは、
間違いなく貴方。
″ 俺が振り返る位、いい女になったら会ってやるよ ″
もう、そろそろ
私を、
女として 見て欲しい。
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