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一体誰からの電話だったんだろう?
ビールに飽きて、焼酎に切り替えた所で、
薫は、すっかり酔ってしまっていた。
「社長、そろそろ美穂さんを帰した方が……」
そう、
昼間は私にちゃんと学校に行けとウルサイくせに、
夜になると、いつも大人時間で私を付き合わせるんだから。
イヤミも込めて、酔っぱらいの耳元で質問。
「眞田さんの残業手当ちゃんと付けてあげてるんですか?」
ここが個室で良かったと思うほど、
薫は泥酔してしまっている。
「…………金ならいくらでも持ってけよー」
……ダメだ……こりゃ。
私が首を横に振ると、
眞田さんはクスリと笑い、
「美穂さんのマンションはどちらでしたか?先にそちらにお送りしますよ」
ヒョイっと、
軽々180センチはある薫を抱えあげた。
「…………よ、よろしくお願いします」
きっと、
疲れてたんだね。
会社と、裁判と、それでも趣味と……
薫の心の支えに、
私はなれてるのかな?
「…………ダメだ……吐く……」
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