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「MIHO??何があった?」
既にモデルは誰もいなくなった楽屋には、角野さんが怒りと心配と、ごちゃ混ぜになったような表情をして待ち構えていた。
「………ちょっと、トラブルが………」
「それ、どうしたの?頬と足、アザが出来てるし!」
言われて見てみると、
蹴られた箇所と、床にぶつけた頬、
そして、シャツをめくれば、肋のところも変色していた。
「ここ、洗面ないですよね?」
とにかくベタベタの髪どうにかしなきゃ。
キョロキョロして鏡台のところに、普段使わない固めるワックスを見つける。
「急いでヘアメイク呼ぶから!」
「いえ、もう時間がないから」
私は用意されていた衣装には袖を通さず、
恐らく、
真優が気に入らなくて着用しなかったであろう、
赤いキッチリしたタイプのドレスを手に取る。
少し前に、
ある有名なデザイナーズコレクションで、
紅子が70年代風の衣装を着て話題になったことがある。
「なんか、MIHOチーク濃いよ?」
____私は
ギラギラしていた80年代風に挑戦してみることにした。
「スタジオ入りお願いしまーす!」
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