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「沖田くん………」
あの投票選挙の日から、久々に顔を合わせた沖田くんは元気そうに見える。
謹慎処分中に無事退院したと愛理から聞いていた。
「俺が聞くのもなんだけど………火傷は、
どう?」
彼が、
ここまでの事態を予測して、真優をけしかけていたのか、
硫酸との関わりがあったのかは、
私は分からないし、警察からの聴取でも、沖田くんの名前は出てこなかった。
「私は、背中だから………範囲も広くないし」
責める相手が違うような気がして、
本当は今でも痛くてたまらない背中を
沖田くんには見せないように、
ベッドのなかで位置を微妙に変えて座っていた。
「速鷹 薫は意識戻っても、再起不能かもしれないんだって?」
沖田くんが、
求めていたリセットの意味が今もわからない。
薫から聞きそびれた、二人の関係を、
目の前の張本人に聞こうとしたら、
「沖田く………」「MIHO」
角野さんが戻ってきた。
「速鷹氏に会えるってよ」
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