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その頃、生徒会室にて。
「もう転入生に絡んできてるとか、アイツら本当にウザいなー」
「…………」
「そろそろ本格的に潰していいんじゃねーの?
美術部連中なんて」
「……勝手に動くなよ轟」
「わかってるよぉ」
美術部という文字のない、部活動一覧表を眺めて橋本は険しい表情を浮かべる。
それとは対照的に、轟は上機嫌そうにくつくつと笑った。
「今日は会長が休みでよかったなー」
「……ここに居ようが居まいが変わりないよ。
この話は全部報告するし、後の判断は2人に任せる」
「……とか言ってる割には、嫌そうな顔してんじゃん?
ふくかいちょーさん」
からかうような口調で紡がれたその言葉に、橋本の眉間のしわがより一層深くなった。
「……別に嫌そうにはしてないけど……」
「そう?」
橋本は、制服の袖に隠れた自らの手首を見詰める。
その瞳からは何の感情も読み取れない。
ただ何か思い詰めているのだということが轟には分かった。
「難しいこと考えなくてよくねー?
生徒会はさぁ、美術部潰せばいいんじゃん。
それが今のところ一番大きい目的なんでしょ」
「…………」
「ま、細かいことは知らねーけど」
返答がないことすら気にせず、轟は言葉を紡ぐことをやめない。
「美術部潰しとか言うと、なんか弱いものイジメしてる気分になっちゃってダメだよなぁー。
……すっごく愉しくなっちゃうから」
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