3 見学

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体育館の裏に弓道場がある。 橋本副会長に教えてもらったからそれはわかってるし、体育館には辿り着けた。 けど体育館らしき物が2つ……どっちの体育館の裏なのか。 そもそも体育館の“裏”ってどこ? うろうろしてても怪しいし、誰かに訊くか。 片方の体育館ではバスケ部が練習しているみたいだ。 冷たい金属の扉の向こうから、怒鳴るような掛け声やボールの弾む音、床とバッシュが擦れる音が聞こえる。 先生だと訊きやすいんだけど、偶然出てきてくれたりしないかな。 入ってみるしかないか。 そう思いながら扉の前で悩んでいると、内側から扉が開かれた。 ナイスタイミングすぎて一瞬身体が強張る。 現れたのは、いかにも「今まで運動してました」という感じで汗だくの、超絶男前な男子。 「おー、どしたん? バスケ部になんか用か?」 無造作に掻き上げられた黒髪に切れ長な瞳、爽やかで感じのいい微笑み。 そのイケメンさを打ち消すはずのアイテム、真っ赤なダサいジャージとありがちな半袖Tシャツですら着こなして爽やかさを演出している。 しかもこのイントネーション、関西人……! なんだこの人は……っ?! 『雰囲気、体格、この状況から察するにバスケ部エース的存在! 頼れる存在という王道ステータスに、更に関西弁による萌えの掛け算が発動! これぞパーフェクト攻め……! だがしかし! あえて押し倒してそのパーフェクトさを崩していきたい、そうしたいッッ!!』 静まれ、脳内の姉貴! 何も言葉を発しない俺に首傾げてるじゃないか……! 「あのっ、弓道場ってどこですか?」 「弓道場? なんやお前、迷子か」 「まぁ、はい……」 迷子というほど迷ってはいないけど、とりあえず頷いておく。 すると超絶イケメンさんは「ちょっと待っとき」と言って体育館の中へと戻って行った。
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