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なんなの?
イケメンでスタイル良くて?
しかも後輩からの人望があって?
無敵なの?
この荒神先輩とやらは無敵なのかい?
本当に姉貴に教えたら喜んで飛びつきそうな人材だな。
「そや、転入生、もう生徒会連中には会ったやろ?
アイツらに案内させときゃええのに」
「え?ああ……そうしようかとも思ったんですけど、会議あるらしくて忙しそうだったんで」
『どうしようかな、聖帰っちゃったから俺が会議出なきゃなんないんだけど、案内役必要だよね。
轟に案内させ……た方が不安だな。
小鳥遊はまだ来ないし……』
そう呟きながら悩む橋本副会長に『いや、一人でも大丈夫なんで』と言ってしまった。
あのままだと轟先輩に案内してもらうことになってそうだったし、それは怖すぎるから丁重に遠慮しておいた。
「忙しそう~?
轟か小鳥遊あたりは常に暇してるやろ」
「そうですけど……わざわざ申し訳ないじゃないですか」
「生徒会なんて遠慮せず使ってええんやで」
襲われかけたんであんまり一緒にいたくないんです、なんて本当のことは言えない……言いたくない……。
っていうか、なんかこの人、生徒会のことよく知ってるみたいな口振りだな。
そういえば、さっき体育館で会長とかどうとか言われてたっけ。
もしかして生徒会長?
この人が生徒会長だって言われたら普通に納得できるけどな。
そう思いながらふと視線を足元に向けると、学校指定の運動靴を履いた先輩の足が目に入った。
運動靴のラインが赤、ってことはつまり3年生。
生徒会長は有り得ない、か?
「俺はちょーっと前まで生徒会長やったで?」
「ぅ、えっ?!」
「全部顔に出てんねん、転入生」
声に出さずに考えていたことにいきなり答えられて狼狽える俺に、「6月までやったからつい最近やなぁ」と笑う荒神先輩。
なんか、アレだ。
この人強い……。
本能的にそう悟らずにはいられなかった。
「弓道場はアレの建物やで、けどアポ無しで部外者入れんかったんちゃうかな?
部長と知り合いやし、聞いてきたるわ」
「……ハイ……」
なんとありがたい気遣い……ご足労かけます。
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