4 勧誘

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「はぁい、来ましたよ」 誰に向けたものか分からない、不機嫌そうな少年の声。 それに続いて、ガラリ、と滑りの悪い扉の音がした。 ど、どこに来たんですかね。 「きたー! 菅井くーん!!」 予想していた通り、聞き覚えのあるハイテンションな声が鼓膜を揺らす。 そして俺が声を出す間もなく、俺を担いでいた腕が緩んでそっと黒岡先輩の肩から降ろされた。 尻餅をつくような形で降ろされた場所は、感触からして多分室内だとは思うんだけど。 すぐさまアイマスクを取ろうと顔に手をやったが、誰かの手がそれを邪魔した。 「さっきぶりー!」 誰かの……というか、篠宮先輩の手で明るくなった視界。 目の前にはあの真っ赤な髪のイケメン、篠宮先輩が。 床に座る俺に合わせてしゃがみこみ、超ご機嫌そうに俺の顔を覗き込んでいた。 「あ、あの」 「んー?」 え、えー……どうしよ。 上手いこと逃げる、とりあえず現在地を聞く、一応話を聞く。 いくつか選択肢はあるけど、どれが最善だ? 橋本副会長からは「関わらなくていい」的なこと言われたし、そりゃ俺だって進んで関わりたくないんだけどさ。 この状況を誰が回避できるんだよ! 「愛斗、ドア閉めてー? 鍵もな」 「はい」 あっ、あ゙ー!退路が……! 考えているうちに、無情にも締められるドアの鍵。 しかも少年がドアの前に立ち塞がるように陣取ってしまった。 そこで周りを見て、初めて気付く。 ここ、教室だ。 多分使われていない空き教室。 見慣れた形の黒板、使われずに積み重ねられた机や椅子が端に寄せられている。 教材か何かが詰められているのだろう段ボールもいくつか乱雑に置かれていた。 俺が入ってきたのは、外へと繋がるドアだった。 この教室にはもう2つドアがあるけど、片方は机や段ボールが邪魔で開きそうにない。
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