4 勧誘

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っていうか痛い!冗談抜きでいったい! 筋だか肉だか分かんないけど首筋がギチギチ言ってるし……! 涙で視界が滲んでいく。 逃げようにも逃げられない、振りほどきたくてもできない。 どうにかしなくちゃ、とは思ってもどうすればいいか考えられる余裕なんてない。 「いいい痛っ、やめてくだ、さ」 喉の奥から叫ぶようにそう言うと、咬みつく力が弱まって歯が離れていった。 え、終わった?助かった? いや助かってはいないけど。 安堵しかけたのもほんの一瞬。 まるでダメ押しだと言わんばかりに、ジンジン痛む首筋に生温かい舌がぬるりと這って思わず「ひっ!」と情けない声が漏れた。 あ、ヤバい。もう無理、限界。 かろうじて瞼に留まっていた涙がぼろぼろ溢れていく。 「…………っ」 誰かが息を飲む気配がした。 「茜、もう」 「わーかってます」 黒岡先輩の声と篠宮先輩の声がどこか遠く聞こえる。 俺を拘束していた腕が離れて、とん、と背中を押された。 よろけるように猫っ毛の少年の方へと踏み出せば、背後で「ごめんねー、菅井くん」と呟くのが聞こえた。 「……ふふ、キョーレツだねぇ」 「今日はそっちに預けといてやるよ」 「はいはぁい」 頭の中は真っ白。 何も考えられない、何を考えればいいのか分からない。 猫っ毛の少年がするりと腕を組んで、気が付いた時にはもうあの教室の外に連れ出されていた。 「今日はひじりんもなおちゃんもいないし、何もしないであげるよぉ。 バイバーイ」
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