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それはまるで、俺に“生徒会にも言えない”ことがあるような言い方で。
なおさら荒神先輩のことがよくわからなくなってしまった。
「や、あの、別に訊きたいこととか……無いんですけど」
「“あったら”って言ったやろ?
無いなら無いでええねん」
「はぁ……」
「ほな、俺も部屋に帰るかなー」
荒神先輩はまた無遠慮に俺の頭をぐりぐり撫で回して、「じゃあな」と言って去っていった。
嵐のように来て嵐のように去っていった……うん。
なんだろう、アレかな、この学校は変な人が多いのかな。
そんなことを思いつつ、廊下の向こうに遠ざかっていく後ろ姿を見送ってから俺は部屋の中に戻った。
部活を終えて寮に帰ってくる時間帯なのか、廊下はさっきよりも少し賑やかになっている。
ドアを閉めても微かに聞こえる足音や話し声。
改めてドアに鍵をかけ直して、俺は弁当の前に戻った。
「……食べよう」
もう何をしても疑問が増えるばかりで出口が見当たらないし、考えれば考えるほどカロリー消費してる気がする……腹減った。
きっとこの学校は頭がおかしい人が多いんだ。
そういうことにしておこう。
世の中諦めが肝心だってどこかの偉い人が言ってたよ、うん。多分。
デミグラスハンバーグ弁当はなんとも美味しかった。
せめてデミグラスソースのレシピだけでも知りたいくらい美味しかった。
食べ終わった後は、ほどよい満腹感と1日の疲れが合わさったせいか睡魔が襲ってきてしまって。
俺はシャワーも浴びずに制服のまま2段ベッドの上段によじ登った。
眠いっていうのもあったけど、なんかこう、服を脱いで今の自分の首を見たくなかったというか……現実を直視したくないというか……。
明日起きたら消えててくれないかなー……という微かな希望を込めて、明日の朝早起きしてシャワーだけでも浴びようと決意した。
2段ベッドの上段にはありがたいことに布団もしっかり敷いてあったから、とにかく寝た。すぐ寝た。
* * *
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