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* * *
遠くでケータイの着信音が鳴っているのが聞こえた。
ああ、これはメールが……届いた時の……。
こんな時間に誰だろう。
微睡みの中から意識がだんだんと浮上する、けどまだまぶたが持ち上がるほどではなくて。
蒸し暑くなった布団を蹴飛ばしながらごろりと寝返りをうって仰向けになった。
…………ん、ちょっと待て。
こんな時間にっていうか、今何時だよ。
時計……ケータイどこ置いたんだっけ。
「おっはよぉ、とーまくん!」
「うぉあっ?!!」
やたら明るい誰かの声と腹部への謎の衝撃で一気に目が覚めた。
反射的に上半身を起こそうとしたけど、やけに重力がかかって起き上がれな……い…………っていうか俺の腹の上に人がいる!?
ぱっちり二重の大きな瞳と目が合った。
「起きたぁ?」
「おっ、おき……た……」
ふふふ、と微笑みながら問い掛けられて、混乱しかけながらもなんとか答えた。
誰だこれ……あっ、えっと、生徒会の……生徒会の人だっけ。
ふわふわと毛先が揺れるライトブラウンの髪、女の子のように可愛らしい容姿には確かに見覚えがある。
けど寝起きで頭が働いてないせいか、どうにも名前が出てこない。
えーと……た、高田……じゃない、小鳥遊?
そうだ小鳥遊くんだ。
「とーまくん制服のまま寝ちゃったの?
面白いねぇー」
「え?
ああ、うん……」
「ふふふー、おはよぉ」
昨日と何ら変わりないニコニコスマイルを浮かべる小鳥遊くん。
ちょっ……待ってくれ。
なんでこの人がここにいるんだろうか……俺、昨日鍵閉めてから寝たよな?
閉めたよ、絶対閉めた。
もしかして、同室の人が帰ってきて閉め忘れた?
えっ、でも帰ってきた気配とか無かった気が……あれ、今何時?
ヤバい、まだ脳みそが起きてない。
「えーと……あの、とりあえずどいてもらえます……?」
「はぁーい」
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