5 紛失

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間延びした返事をして、小鳥遊くんは素直に俺の上からどいてくれた。 はしごをギシギシと軋ませながら2段ベッドから降りていくライトブラウンの頭を見送る。 開けた視界に映るのは、昨日寝る直前となんら変わりない寮の部屋。 同室の人……はいないのかな。 とにかく俺もはしごを降りて、ペタリと床を踏み締めた。 「とーまくん、さっきケータイ鳴ってたよー? メールじゃないかなぁ、はい」 テーブルの上に置いてあったガラケーをわざわざ手渡してくれる小鳥遊くん。 そうそう、メール来てたんだった……じゃなくて! それよりも先に聞くことあるだろ。 流されるところだったわ。 「あのー、小鳥遊くん? なんでここにいるの……?」 疑問をそのまま投げ掛けると、小鳥遊くんは不思議そうに目を丸くして首を傾げた。 「んー? とーまくん起こしに来たんだよぉ」 「いや、目的じゃなくて……」 「どうやって入ったかってことぉ? 寮監の先生にね、合鍵借りたのー」 「ほら」と彼は自分のポケットから鍵を取り出して見せた。 まさかの合鍵。 こんな簡単に生徒に合鍵貸していいのかよ先生。 「とーまくん、今日から本格的に登校でしょー? 昨日も変な人達に絡まれちゃったしさぁ……学校に慣れるまではなるべく近くでサポートしてあげた方がいいよねぇ、って話になってね?」 ヤバい、なんか大事っぽいこと話し始めたぞ。 まだハッキリと起床してくれない頭をどうにか回して、小さく頷きつつ小鳥遊くんの話に耳を傾ける。 「2週間だけとーまくんのクラスに編入することになったからぁ、僕が」 「編入? え、わざわざ?」 「そー、わざわざ! だから今日から一緒に登校しよーね」 いや、何が「だから」なのか分からないけども。 転入生のために生徒会役員がクラス編入って……それ必要なのか? 普通はそのクラスのやつがなんか、こう、上手くサポートしたりするもんじゃないの? まぁ、そもそも“普通”がどうだか知らないけど……だって転校初めてだし……。 生徒会って大変なんだな。 なんか申し訳ない。
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