1 転校

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俺達2人が通ると、門は自動で閉まってくれた。 このシステム、結構便利だとは思うけどお金かかるんだろうし無駄な設備な気がする。 あくまで凡人の感覚だけど。 そこからは数歩前を歩く雅紀についていって校舎を目指したが、まぁ遠かった。 高校でこの規模って馬鹿なの?と思うくらい遠かった。 門を入ってすぐ右手にあるあの教会では、卒業生や教師が結婚式を上げたり出来るとか。 グラウンドや体育館は何個かに別れてて、体育祭はなかなか盛大だとかどうだとか。 敷地内にある雑木林(そもそもなぜ敷地内に林があるのか疑問)には幽霊が出るという噂があるだとか。 あの簡素な造りのデカい建物が寮で、あの派手でデカい建物が校舎だとか。 (どれもこれもデカいことに変わりはない) 敷地内で新入生が迷子になるのは恒例行事だとか。 パンフレットにも書いてあったことから、どうでもよさそうなことまで、雅紀は懇切丁寧に説明してくれた。 なんだかんだ言って面倒見がいいんだからありがたいねー。 説明を小耳に挟みながら写真も撮れたし満足です。 ってかなんか雅紀、詳しすぎない? そんなに何回もこの高校来てんのかな。 実は志望校だったとか? それにしても、この高校の規模に呆れるわ。 校門くぐってから一体何分かかったのか……もっと考えて学校造るべきだと思う。 でも自然に囲まれてたり、建物がどれもこれも西洋風で小洒落てる感じは嫌いじゃないかな。 ようやく辿り着いた乗降口。 来客用玄関はまた裏手にあるらしいけど、そんなところまで歩くのも疲れるから普通に生徒用の乗降口からお邪魔する。 「俺もう帰っていい?」 「ダメ、職員室までって言ってるだろ」 嫌な顔をする雅紀の服の袖を引っ張りながら、薄くスモークのかかったガラス張りの戸を開く。 すると、たくさんの下駄箱の群れと……やたら派手な髪色をした人が立っているのが目に入った。
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