89人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます……」
関わりたくなくても一応挨拶はするよ、人として常識だし。
だけど何されるか分かんないから、ある程度は距離をとったまま。
いや、「何されるか分かんない」とか考えてる時点で色々とおかしいんだけどな!
昨日の首筋のアレでもう、轟先輩への信頼はゼロどころかマイナスだから仕方ない。
「転入生くんの名前なんだっけ、忘れた」
「とーまくんだよぉ」
「とーまくん?」
「いや、まぁ、透真ですけど……菅井です」
「ハイハイ、とーまくんね」
なるほど、話聞いてくれないんですね!
なんとなくそんな気はしてた、うん。
とーまくん呼びが定着しそうだな……別に嫌ではないけど良くもないというか。
「立ってんのダルいし、さっさと飯食おうぜとーまくん」
そう言って盛大にあくびをしたかと思えば、轟先輩はなんの躊躇もなく俺の肩に手を回した。
思わず一瞬身体が硬直する。
「ぅえっ、あの」
「なに?」
「……なんでもないッス」
左腕には小鳥遊くんがまとわりつき、右側からは轟先輩が寄りかかってくるという謎フォーメーションが出来上がってしまった。
もんのすごく馴れ馴れしくないですか。
どうなってんの、この人達のパーソナルスペースどこいったの。
でも轟先輩は別に変なこと(そもそも変なことって何だよ)をしてくる気配もなく、「恋斗はなに食うの」と小鳥遊くんに問いかけている。
俺を挟んで会話する必要なくない……?
「僕はどうしよっかなぁ……あ、とーまくんに注文の仕方とか教えてあげなきゃね!」
「教えるも何もなくねぇ?
食券買っておばちゃんに渡すだけだし」
「えー、ちゃんと教えることあるよぉ」
あ、はい、食券制なんですね。
なんかもう色々とどうでもいいや。
今はとにかく朝ごはん。早く食べたい。
最初のコメントを投稿しよう!