6 朝食

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2人に挟まれたまま、2台の券売機の前まで連れてこられた。 おお、色々ある……。 定食系から丼もの、麺類、パン類にサラダにデザートまで多種多様なラインナップ。 これは素晴らしいな。 券売機の横には、小さめの掲示板。 これは日替り定食だろうか、曜日とメニューが書かれた紙が貼ってある。 「今日の日替り定食、鯖味噌だって。 朝から魚とか萎えるわ……チャーハン食いたい」 「僕はサラダ食べたいなー。 とーまくんはどうするの?」 「えーと、じゃあ日替り定食を……」 轟先輩は萎えてたけど、鯖味噌美味しいもんな。 しかも味噌汁はなめこ汁らしいし。 絶対美味しいじゃん。 「とーまくん、生徒証持ってるよね?」 「え、うん」 制服のポケットから財布を取り出そうとしたら、小鳥遊くんに制止された。 なに? まさか食券買うのに生徒証が必要とかそんなことがあるとでも……? 疑問に思っていると、轟先輩が自分の生徒証を券売機のスキャナ部分にかざした。 まず券売機にそんな機能がついてることに驚きなんだけど。 「生徒証でねぇ、食券出てくるから。 きょーちゃんがやったみたいにピッてしてねー」 は? 「出てくる……? ってことは、生徒証で食券買えるの?」 「ん?とーまくん文特だよね? 特科だから、こーゆーところでお金が免除されるんだよぉ」 「免除……」 「あ、違う、ちょっとは事前にお金振り込まれてるんだっけ? だからー、えっと、他の生徒よりはお得……ってことかなっ」 「詳しいことは分かんないけど!」と屈託もなく笑う小鳥遊くん。 免除?振り込まれてる? 小鳥遊くんの説明は微妙に不安なんだけど、つまり俺はここで金は使わなくていいってこと? 意味わからんけどありがたいな……! ちょっとお金持ち私立はブッ飛んでるなー、とか思ったけど庶民の財布には優しい。うん。  
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