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轟先輩がやったのを真似して、俺も券売機に生徒証をかざして無事に食券を購入。
「あっちでおばちゃん渡すのー」と俺を引っ張って行く小鳥遊くんと、既にサンドイッチらしきパンを受け取っている轟先輩。
……ん?
ってことは、小鳥遊くんも轟先輩も特待生みたいなやつなの?
こう見えて2人とも頭良いとか……こう見えてって言っちゃうと失礼だけど。
まぁ、生徒会やってるんだしな。
人は見かけによらない。
「恋斗ー、先に座ってるから。
いつもんとこな」
「はーい、りょーかい。
ほらほらとーまくん、食券出してー」
轟先輩は一足先にすたすたとテーブルの並ぶフロアへと行ってしまった。
俺は小鳥遊くんに促されるまま、カウンターの中にいるちょっとポッチャリ気味なおばちゃんに食券を渡す。
小鳥遊くんはおばちゃんに「サラダお願いしまーす」と声をかけた。
ん?そういえば小鳥遊くん、食券買ってない。
「はいはい、日替わり定食といつものサラダね」
にっこり笑って答えると、おばちゃんはカウンターの奥へ一度引っ込んで戻ってきた。
かと思えば、人当たりの良さそうな笑顔を浮かべたまま俺の顔をじっと見詰めてきた。
な、なんか謎の威圧感がある。
「小鳥遊くんのお友達?
初めて見るお顔だけど」
「え?
あ、はい」
はい、と言ってしまってから「小鳥遊くんって友達か?」と疑問が湧いてきたけど、まぁいいか。
「転校生なんだよぉー、とーまくんっていうの」
「あらー、転校生!
そういえばそんな話も聞いてたわね、えっと、とーまくん?」
「菅井です、菅井透真です」
なんか小鳥遊くんのせいで、知り合う人全員から『とーまくん』呼びになりそうな気がしてきた。
ちゃんと自己紹介して訂正していこう、うん。
「うふふ、そうよね、いきなり名前呼びは馴れ馴れしいわよね」
「いやっ、そんな、馴れ馴れしいとかは全然いいんですけど……!」
「あらそう?
あ、定食はちょっと時間かかるから待っててちょうだいねー」
ご機嫌そうにパタパタとカウンターの中を動き回るおばちゃん。
おばちゃんは作業しながら喋ってるのに、完全におばちゃんのペースにのまれてる気がするのは何故だ……!おばちゃん強ぇよ!
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