プロローグ

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ーザアァァッ!!と突然、突風が吹き荒れた。 ザワザワと森の木々たちが揺れ音を立てた。 冷たい風がリンの体を通り抜ける。 「……っ」 あまりの寒さに体が震え、思わず目を覚ました。 「私…寝てたんだった…」 キョロキョロと周りを見渡すと辺りはすっかり暗くなっていた。 「いけない、そろそろ帰らなきゃ…」 そう思い立ち上がったものの 妙な寒さに体が強張った。 「こんなに寒かったけ…??」 急になんだか怖くなって開きっぱなしの図鑑を閉じて腕に抱えた。 その瞬間ゴゴッ…!!と唸るような地響きが辺りに響いた。 「…っ!なに…ッ!?」 倒れないようになんとかその場に踏ん張る。 動けないでいると徐々に辺りが黒い霧に包まれていく。 その時… 「ーグアァァァッ!!」 背後から耳を塞ぎたくなるような鳴き声が木々を揺らした。 「…っ!?」 恐る恐る振り返るとそこには… 「な、に…あれ…」 黒い炎をまとった巨大な鬼のような怪物がこちらを睨んでいた。 こんな怪物、図鑑でも見たことがない…! 一体何が起こってるの…!? "逃げろ”と頭の中で警報がなる。 「逃げ、なきゃ…!」 わかっていても体が思うように動かない。 「嘘っ…!」 「グアァァァッ!!」 鬼は勢い良く走って来て 長く鋭く尖った爪をリンに向かって振り下ろす。 「…っ!いっ…いやぁーッ!」 リンはギュッと目をつぶった。
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