プロローグ

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死ぬ…! そう死を覚悟した瞬間…ゴオォッ…!!と何かが燃える音がした。 「……っ!」 来るはずだった痛みがいつまでたっても来ない。 もしかしてもう自分は死んでしまったのかと 恐る恐る目を開けた。 すると先ほど居たはずの鬼が跡形もなく消えていた。 そこにあるのは広範囲に何かが燃えて焦げた後だけ。 「一体何が起こったの…??」 鬼がいなくなって安心したのか ペタンと座り込んだ。 わけがわからず戸惑っていると 後ろから甲高い声が聞こえた。 「どうやら貴女には鍵の召喚士の力があるようですねぇ…それも相当の。」 「今度はなにっ…!?」 立つこともままならないまま 体だけを後ろへ向ける。 「そんなに怖い顔しないでください、私は貴女をとって食おうなどと思っていませんから。」 振り向くとそこには白いマントに身を包んだ まるで魔法使いのような恰好をした男が立っていた。 銀色の髪は下でひとくくりにされており 何と言っても一番気になるのが丸くて分厚いグルグル眼鏡。 「えーと…」 「そして怪しい人でもありませんから」 リンの疑いの視線に気がついたのか男はそう付け足した。 けれど怪しい人ではないと言われて誰が信じるだろうか。 先ほどのこともあり警戒心が強くなる。 「ーはぁ…信じてませんね??」 男が面倒くさそうに眼鏡をクイッと上げた。 「そうですね、私が鍵の召喚士の門(キーマンゲート)の門番だと言ったら信じますか??」 「え……??」 リンは驚き目を見開いた。
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