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「まぁ、今すぐってわけではないので安心してください。」
「はい…」
これからさっきみたいな化け物と戦うんだ…
一抹の不安がよぎり、キュッと拳を握る。
『大丈夫だ、お嬢ちゃんは俺が守ってやる。』
イフリートはリンの頭をぽんっと撫でた。
「イフリートさん…」
不思議…さっき会ったばかりなのに
イフリートさんに大丈夫だって言われたらスッと不安が消えていった。
『イフリート…じゃなくて俺に新しい名前を付けてくれないか…??」
「新しい名前…??」
「そう、精霊と契約するには必ず一番最初に名前を付けなければならないんです。そうして初めて精霊と契約成立になるんです。」
『イフリートは通り名だからな…お嬢ちゃんだけの、俺の名前を付けて欲しい。』
ずっと会いたいと願っていたイフリートさん…
私だけのイフリートさんの名前…
「ーフェルド…フェルドはどう…??」
『フェルド…いい名前だ。気に入った!!お嬢ちゃん手を出して…』
イフリートさん…じゃなくてフェルドに促され手を差し出すと
フェルドの大きな手がそっと重ねられた。
ボォッ…と炎に手が包まれる。
「(不思議…全然熱くない…)」
シュウッ…と炎が消えるとそこには、真っ赤に光輝く大きなルビーが付いた鍵がそこにあった。
鍵の棒の部分には…
「フェル、ド…??」
そう彫られていた。
「あぁ、これで契約成立だ。これからよろしくな、お嬢ちゃん。」
「こちらこそ…っ!?」
突然クラッと目眩に襲われた。
「そろそろ限界のようですね、初めての召喚で力を使いすぎたのでしょう。」
『そうみたいだな…』
そう言うフェルドの姿も徐々に透けてきた。
「伝説の精霊を喚んでここまで持ったなら、初めてにしては上出来ですね。さて、私もそろそろお暇しますかね」
「待って…!私まだ貴方の名前聞いてない…!!」
「私に名などありませんよ、機会があればいずれまた…」
『お嬢ちゃんまたいつでも喚んでくれよな!』
そう言って2人は同時に消えていた。
ここから私の鍵の召喚士としての
物語が始まるんだ…
リンはフェルドの鍵をぎゅっと握り締めた。
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