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「……どうして……怒るんですか……」
明菜は涙ぐんだ。
「泣くことは無いだろう……一体、君は何を知っているんだ?」
「一緒にジャズクラブに行って、帰りにビジネスホテルに……」
「君は何を言ってるんだ。
確かに、ある女性とジャズクラブに行ってビジネスホテルに行った」
「……ある女性? 私と行ったでしょう」
「……その女性は昨夜の火災で亡くなったんだよ。 午前中に警察に行って確かめてきたよ」
「……そんな馬鹿な……」
「此処にくる前に彼女の家に行って、
線香をあげてきたよ」
『……ヒック……』
明菜は、すすり上げるように声を押さえて泣く。
「さぁ、これを使って……」
市川は明菜にハンカチを胸ポケットから出して渡した。
『チーン』
「洗って返します」
「私も少し不自然さを感じているので
最初から話して貰えないか……」
「……はい」
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