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明菜は市川と一緒にジャズクラブで、生バンドとジャズボーカルの迫力あるライブに酔いしれながら水割りを2杯飲んだ。
光一と一緒の時でも水割りを1杯以上飲んだ事は無かった。
もともとアルコール類は、弱いのでほとんど飲まない。
「もう1杯どう?」
「頂くわ」
どうして“頂くわ”と言ったのか、
明菜は自分でも不思議に思った。
今日は初めてのジャズライブと市川の
気さくな雰囲気が、明菜を解放的にしたのかも知れない。
光一と一緒の時は、気を使うせいか
あまり酔えない。
今日は水割り2杯目の半分位飲んだところで、目蓋が重くなり口角が緩んできたのを感じた。
明菜が、こんなに酔ったのは2年振りだった。
ライブが終わり帰ろうと明菜が立ち上がった時、足元がふらついた。
「あっ! 危ない」
市川に抱き抱えられた。
そして帰りタクシーに乗った記憶は、微かにあった。
そこまでの記憶はあるけど、その後の記憶は所々飛んでいた。
明菜は朝ベッドの中で目覚めた時、多数の人の声が螺旋状にミックスされて、聞こえて来た。
子供の頃は、同じような症状があったが
中学に入る頃は、すっかり消えていた。
どうして消えた症状が、また復活したのか?
原因は?
そう言えば、たくさんの人の声が聞こえなくなったのは、ホワイトストーンを身に付けてからかな……。
明菜はタンスの引き出しを開けて、
ホワイトストーンを取りだし首に掛けた。
不思議な事に頭がスッキリして、幻聴が消えた。
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