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「光一さん。 今日は休み?」
「いや、仕事だ。今、何時?」
「8時よ」
「今日は10時30からカラオケ教室の生徒が来るんだ」
「歌、教えているんだ。
私も生徒になるわ。良いでしょう」
「うん……」
「あっ、そうだ。 昨日、光一さんに恋人の代役を頼んだけど。
相手の男性を覚えている?」
「うん。 確か、幼なじみの健ちゃんだったかな……」
「そうよ。 記憶力良いわね。
私の友人が、たまたま銀座で健ちゃんを
見かけ私を心配して、写メを送って来たのよ。
私の彼氏と勘違いしたのね。
でも、良かったわ。健ちゃんに彼女が出来て。結構、美人よ」
そう言いながら、瑠花がスマホの画像を
光一に見せる。
瑠花のスマホを覗いた。
『あっ!』
光一は、驚いて声を呑み込んだ。
「どうしたの?」
「いや。知人に似ていたけど、よく見たら人違いだったよ」
「世の中に似ている人、3人いると言われているからね……」
「そうだね」
「光一さん。 一緒にシャワー浴びる?」
「いや。 後で浴びるから」
「分かったわ」
『バタン』
と浴室のドアを瑠花が閉める。
浴室からシャワーの音に混ざった鼻歌が聞こえて来た。
光一は、テーブルの上に置いてある瑠花のスマホを手に取った。
そして先ほどの画像を自分のスマホに赤外線通信で送った。
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