【2】

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明菜はボイストレーニングが終わる頃をみはらかって教室に行った。 ちょうど終わったばかりで、生徒達が帰り支度をしている。 光一は明菜の姿を見て一瞬、顔が曇った。 でもすぐに笑い顔を作り、明菜に駆け寄ってきた。 「もうすぐ終わるから、ここで少し待ってて」  そう、伝えると光一はキーボードなどを 片付け出した。 明菜は光一に会ったら、言いたい事が山ほどあった。 でもいざ光一に会ったら、言いたい事が何も無い事に愕然とした。  「お待たせ。 ちょっと明菜に聞きたい事がある。 昨日の夜は何してたんだ?」  「光一からのメールで、用事が出来て行けなくなったと言うので、まっすぐ帰ったよ」 「本当か? 俺はメールなどした覚えは無い。そのメールはあるか」  「わたし嘘などついてないわ。 メールはあるよ」 明菜はメール保存フォルダを開く。 「えっ、どうして?」 光一からのメールは無かった。 「どうだ。あったか?」 「……」 明菜が無言で首を横に振った。  「お前の事は信用出来ない。 あの日まっすぐ帰ったと、さっき言ったよな」 「うん」 「では、これはなんだ」 光一が差し出したスマホの画像を見た。
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