【2】

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 光一が差し出したスマホには、男に抱き抱えられるようにして、 タクシーに乗り込む明菜の姿があった。 「これは、なんだ?」 「……」 「お前との婚約は、解消する」  「待って! 光一さん。 彼とは何でもないの。 説明させて……」  「俺はメールを送って無いのに送っただって? そして、真っ直ぐ帰ったって……。 じゃあ、この写真はお前じゃないのか? どこまで嘘で塗り固めるんだ!」 ヒステリックに光一は叫んだ。  スマホの写真を見せながら、ヒステリックに叫ぶ光一を見て明菜は、どんな弁解も無意味な事を悟った。 明菜は溢れて来る涙を右手で、拭いながら逃げ出すように教室を後にした。  (いつあの写真撮られたの? どうしてメールが消えているの? 何故? 光一さんが写真持ってるの?) 明菜は、脳がフリーズしたかのように、何も考える事が出来なかった。  不可解なのは、ジャズクラブで気分が悪くなった所までは記憶があるのに、 その後の記憶がすっぽり抜け落ちている事であった。 抜け落ちた記憶を思い出そうとすると、悪夢のシーンが断片的に甦る。 私、頭が変になったのかしら……。 昨夜の事を、彼に会って聞こう。 明菜は市川から貰った名刺を見た。 名刺の裏に“何でも屋”とあった。
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