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明菜は、視線を上げて、 「彼氏役を依頼するなんて、私には 信じられない世界だわ……」 と、語尾が消え入りそうな声で言った。 「今は、お金さえ出せば愛も買える世の中ですよ。でも、その愛は幻想ですけどね」 「そうですね。虚しさが増すだけだと思うわ」 「私は二人のキスシーンを目撃して、 彼女にゾッコンの幼馴染みの役は成功したなと思い、二つ目の依頼の件も引き受けるつもりになった」 「二つ目の依頼とは?」 「やはり本宮さんに関係する事だったよ」 「私は訳が分からないわ。 その女性の素性は全く知らないし……」 「依頼の女性は本宮さんの事は 良く知ってるみたいだね」 「何だか気味が悪いわ」 明菜はブルッと身震いした。  私は二人と別れてから暫くして、彼女にメールを送って、二つ目の依頼の内容を聞いた。 すぐにメールがきた」 「どんな内容だったの?」 「彼が本宮さんに送った ゙仕事で待ち合わせ場所に行けなくなった" と言う嘘のメールを削除して貰いたいと言う依頼だったな」
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