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「えっ! 仕事で行けなくなったと言うのは、嘘だったの?」
「彼は依頼の女性を選んだので、
仕事っていうのは、嘘だったよ」
「どうして、その嘘のメールを削除するの?」
「彼女にして見れば仕事っていう口実より、何にも言わないで、すっぽかした方が本宮さんが諦めやすいだろうと判断したそうだ」
「そんなのは、その女の身勝手よ。
それで市川さんはその依頼を引き受けたの?」
「うん。 人前でキスを見せびらかす男なんて最低だ。
そんな男には関わらない方が良いと、判断したからなんだ」
「それで市川さんの行動は、指示された物だったの?」
「いや、本宮さんがメールを読んでいるいないに関わらず削除して貰いたい。方法は任せるという依頼だった」
「いくら仕事といっても、犯罪よ」
「そうだね。私の仕事には盗聴、盗撮、尾行などがあるからね。
依頼を引き受けたのは良いが、どのようにして接近するか悩んでいた時に、あのケーキ事件があった。
ツキがあるってほくそ笑んだね」
「タクシーでの写真、どのようにして撮影したの?」
「あれは、私では無い。依頼の女の関係者だろう。
その写真の話しを聞いて、巧妙に仕組まれた罠(わな)ではと思ったんだよ」
「そうだったんですか?」
「一つ質問して良いですか?」
「はい。 何でしょう?」
「彼にまだ未練はありますか?」
「いえ。 今までの話しを聞いて彼への未練は、すっかり消えました」
「それを聞いて安心しました。
私を騙したあの二人には、それ相応の報いを受けて貰いますから……」
「えっ! 報いって?」
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