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「私は陰陽師ですよ。
魑魅魍魎を操って、あの二人を懲らしめるんです」
「市川さんがやりたいのであれば、やっても構わないけど……。私はどちらでも構わないわ」
「そうですか。 本宮さんが、そう言うのであれば私も二人に関わるのはやめましょう」
「私のメールは、いつ削除したんですか?」
「タクシーの中ですね。
もうこの話しはやめましょう。
ところで、ジャズクラブの事は覚えていますか?」
「ええ、とても素晴らしい演奏と歌でしたね。私の好きなエリントンの曲が数曲あったので、感動してアルコールの量も進んだわ」
「そうでしたね。
終了間際には、かなり酩酊していましたよ」
「あんなに酔ったのは、産まれて初めて。
……初めて会った人とお酒を警戒心なしで飲んだのも、いま考えてみても不思議だわ」
「そうだ、ホテル内での記憶を再現してみますか?」
「ほ、本当にそんな事が出来るの?」
「試してみますか?」
「はい」
明菜は唾をゴクリと飲み込んで言った。
「藤井さん、今日はもう終わっても構いませんよ」
「はい、終わります」
「本宮さん。では、ちょっと待って下さいね」
「はい」
二人が奥の部屋へ引っ込む。
暫くして事務員が出て来た。
「ごゆっくりどうぞ」
「……」
明菜は無言で頭を下げた。
事務員が帰ってから、すぐ奥の部屋から
市川が出て来る。
市川の姿を見て明菜はビックリした。
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