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「映像が突然消えた原因は分からないの?」
怪訝な顔で明菜が尋ねる。
「私の式神を破る存在なんか信じたくないな……」
「今日の夜のアパートの件も式神を使うのですか?」
「そうだよ」
「私も一緒に連れて行って貰えませんか?」
「えっ! 本当に一緒に行きたいのですか?」
「そんなに驚く事ですか……」
「えぇ、魑魅魍魎の渦巻く場所に行きたいなんて、そんな事を言った人は本宮さんが初めてですよ。
私は仕事だから仕方なしに行くんです。出来る事なら行きたく無いですね」
「そうですか。 私は変わっているんですね」
「そこまで言うのだったら連れて行きますが、何が起きても自己責任ですよ」
「はい」
「今、14時30分だから6時間後の20時30分に中野駅前で待っていて下さいね。迎えに行きます」
「はい。分かりました。では失礼します」
明菜は石川と別れて東中野駅に向かいながら先程のスクリーンに映っていた映像を思い浮かべた。
(確かに映像では、自分は泥酔していた。 常識的に考えてあの状態で、火災現場から逃げ出される訳がない。
それが何故、自分のベッドに……
考えているうちに、東中野駅に着いた。
待ち合わせの時間まで6時間ある。
少し眠たいので家に帰り眠る事も出来るが、それだと寝過ごすかも知れない。
「あっ、そうか。その手があったわ」
明菜がニッコリ微笑みながら呟いた。
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