6962人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
「昼間のお客のアパートは、中野と高円寺の中間位の場所だから、此処を10時頃出れば大丈夫だよ」
「わりと近い場所なんですね」
「そうなんだ。
まあ時間は、たっぷりあるから君の悩みを聞こうか?
さっき外から君の姿を見た時は、ビックリしたよ」
「えっ! どうして?」
「魂の抜け殻っていう感じだったから……」
「……そんなに酷かったんですか……」
「そうだよ。 何があったんだ?
それから君の用件を聞こうと思っていたら、突然に裏の仕事の依頼があって、そちらを優先してすまなかったな。
君との約束の時間は、しっかり覚えているんだが……君の用件の事に関しては……曖昧なんだよ……」
「えっ……どうして惚(とぼ)けるんですか?」
「惚けるとは、どう言う意味だ?」
市川は強い口調で呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!