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「市川さんと最初に会ったのは、私のケーキに市川さんがぶつかった時ね……」
「……何でその事を……」
「……ぶつかったのは偶然で、市川さんの目的は私のスマホからメールを削除する事だったのよね。
私はジャズクラブで酔っぱらって、市川さんに抱き抱えられタクシーに一緒に乗った。タクシーの中で私のメールを削除したのね……」
「……うーん……。本人でなければ知り得ない情報だ……。 君の言う事を信じるよ……」
「ありがとう。
私も何が何だかさっぱり分からないの」
「ところで今日事務所で君に会った時、私は何を話した?」
「えっ! 覚えていないのですか?」
「……そうなんだよ」
「市川さんは、私に
『生きていたのか?』
とおっしゃいました」
「……そんな事を言ったのか。
そうすると、それ以後、私の記憶から君の情報が消された事になる……。
もしかすると私達は、とんでもない相手と……。
君は、この件から手を引いた方が懸命かも……」
「いえ、私には何も失うものはありません。私は一人でも真相を究明します」
「分かった。私も協力しよう」
市川は、そう言うとスマホを取りだして誰かに電話している。
(……誰に電話しているんだろう)
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