【5】

10/17
7383人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
「所長から聞いています。部屋は、こちらよ」 藤井が微笑みながら言った。 その時、ドアが開き市川が入ってきた。 「……所長、お帰り」 「ただいま。 藤井さん、妹の髪をショートカットにしてもらえないか」 「はい。お安いご用よ」 「えぇ、どうして? 」 明菜は、ビックリしたような 顔をして市川を見つめながら尋ねた。 明菜は長い髪が大好きで、子供の頃からいつも伸ばしていた。 「表の仕事なら、髪が長くても問題はないが裏の仕事は髪が長いと危険だからだ」 市川が呟いた。 「……お兄ちゃん……よく分からないわ」 「所長。 私から説明するわ」 「じゃあ、頼むわ」 「裏の仕事は怨霊や死霊などが関わってくるのは知ってるわね」 「はい。知ってます」 「長い髪は邪悪な念が籠(こも)りやすいの。怨霊などは、それを利用して自分の首を自分の髪で締め付けさせようとする……その危険性を無くそうと言う事よ」 「……無理やり艶のある綺麗な髪を切る必要ないよ。裏の仕事をやらなければ……」 「お兄ちゃん、 バリカンある?」
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!