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「所長から聞いています。部屋は、こちらよ」
藤井が微笑みながら言った。
その時、ドアが開き市川が入ってきた。
「……所長、お帰り」
「ただいま。
藤井さん、妹の髪をショートカットにしてもらえないか」
「はい。お安いご用よ」
「えぇ、どうして? 」
明菜は、ビックリしたような
顔をして市川を見つめながら尋ねた。
明菜は長い髪が大好きで、子供の頃からいつも伸ばしていた。
「表の仕事なら、髪が長くても問題はないが裏の仕事は髪が長いと危険だからだ」
市川が呟いた。
「……お兄ちゃん……よく分からないわ」
「所長。 私から説明するわ」
「じゃあ、頼むわ」
「裏の仕事は怨霊や死霊などが関わってくるのは知ってるわね」
「はい。知ってます」
「長い髪は邪悪な念が籠(こも)りやすいの。怨霊などは、それを利用して自分の首を自分の髪で締め付けさせようとする……その危険性を無くそうと言う事よ」
「……無理やり艶のある綺麗な髪を切る必要ないよ。裏の仕事をやらなければ……」
「お兄ちゃん、
バリカンある?」
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