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「別に深い意味はないわ…… 今までの明菜は死んで、新たな明菜が誕生すると言う意味よ」 「ふぅーん……そっかあ……なんか凄い秘密があるのかと……期待しちゃった」 「……おいおい妄想を膨らませるなよ」 「はいはい」 「はいは1度で良いよ」 「……はい」 藤井がペロッと舌を出した。 (……今日の朝も2人は同じような会話をしていたな……) 「所長、新聞紙を床に敷くので頂戴」 「はいはい」 「所長! はいは1度……」 「……誰かさんのクセが移ったのかなぁ……」 「人のせいにしないで」 「……これは手厳しいお言葉で……」 『ウッフフ』 明菜が笑った。 藤井が新聞紙を床に敷き詰めた。 「明菜ちゃん。真ん中に座ってね。 断髪式を始めるわ。 止めるのなら今よ」 「バッサリやって下さい」 「分かったわ」 明菜の頭からスッポリとビニールの覆(おお)いを被せた。 『ブウーン……』 バリカンのスイッチを藤井が入れた。 明菜の長い髪を藤井は、むんずと掴み天井へ向ける。 バリカンを明菜の額の中央に当てた。 『バリバリ……』
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