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「こら! 待てぇ……」
バリカンを持って明菜が市川を追いかける。
「ストップ」
藤井が両手を広げて2人の間に割り込んだ。
「遊んでいる場合では無いでしょう。
仕事の時間は?」
「そう、だったな」
市川は腕時計に視線を走らせた。
「大丈夫だよ」
「所長、妹さんは私と体型が似ているから毛糸の帽子とコートは使えると思うわ。1回しか使用してないのよ」
「そうなんだよ。 最初は藤井さんは
裏の仕事希望だったんだよ」
「えっ、もしかしたら藤井さんもスキンヘッド?」
「……スキンヘッドなんかしないわよ。
元々、ショートヘアだったので、そのままだったわ」
「藤井さんは、面接の時にネットでホラー小説を書いていると言う事だったので、魑魅魍魎の類いも大丈夫だなと思っていたら……」
「所長、その後は言わないで……。
私から話すわ……。
ちょうど2年前の……そう季節は今頃だったわ」
藤井は、ブルッと身震いした。
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