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ワタシの方に首を向けるソイツの落ち窪んだ眼窩に辛うじて収まっている眼が、果たしてワタシの姿を捉えてるのかは知らないけど、なんだか気味が悪いのは確かだった。
ソイツはワタシが通りすぎるまで首以外を動かさなかった。首が不自然に曲がってる気がするけど大丈夫?
なんとなくワタシがちょっとだけソイツに顔を向けた瞬間、
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■」
叫びなのか、別の何かなのか分からない。
だけど、大きく開けた口から何かが溢れ出て、そう、黒い粘着質な何かも一緒に撒き散らしながら、ソイツはワタシに掴みかかろうとする。
「ちょ、な、何すんの?」
反射的に飛び退く。
ソイツはそれでも、ワタシにすがり付くように足を引きずりながら、ワタシに向かって両手を伸ばす。
……何、コイツ、キモいんだけど。
ソイツがゆっくりと一歩こっちに来る度に一歩下がる。
この変質者を誰かに捕まえてもらわなきゃ。クスリか何かでおかしくなってるんだ、きっと。
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