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ワタシは必死にタクヤの元に駆け寄る。
タクヤは誰もいない教室でたった一人、何事もないみたいに静かに席に座っていた。これは確かにタクヤだ。
ホームルーム開始のチャイムはとっくに鳴ったのに、他の生徒は誰も教室にいない。いや、いるはずない、だって学校にはアイツらがいるんだから。
でも、タクヤは無事だ。アイツらみたいに意味分かんなく襲ってこない。
ワタシは、教室の外の異常なんて無いかのようにいつもみたいに整然としている机や椅子を掻き分けて、タクヤの元に駆けていく。
「タ、タクヤ! どうしよう、みんな変なんだよ! 急にワタシに襲いかかってきて、ねえ、タクヤ、ワタシ、怖いよ……」
だけど、タクヤは机に座ったままで無反応。こっちを見ようともしてくれない。
「タ、タクヤ……?」
恐る恐る正面を向いたままのタクヤの肩を揺する。こんな静かな教室でワタシの声が聞こえていないはずがない。タクヤの肩は何か、そう、まるでウォーターベッドのように何か軟らかい物でも詰めているみたいにグニャグニャとしていた。
そして、タクヤはぐりんと首をこちらに向ける。
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