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私が空けた穴からデリウスが見上げる姿を確認すると、私は右手を天へと掲げた。
そこに、巨大な光球が現れる。
私がそれを握ると、光球は前後へ細く伸び、瞬時に巨大な“光の槍”へと姿を変えた。
それを見たデリウスの表情が凍り付く。
「“何故貴様がそんなものを持っている!?”」
「言葉遣いが荒れているぞ?デリウス卿」
「糞がァッ!」
突如、デリウスは叫びながら壁を突き破り、凄まじい速度で駆け、逃げ出す。
無駄だ。
天から見下ろす此の形。
どれだけ逃げようと、射出の角度を変えればいいだけだ。
私は左手を突き出し、それを照準にするようにデリウスへと合わせ、追う。
「我が“神槍”は“一投必殺”。デリウス、貴卿のその吐き気を催す顔を二度と見れないと思うと私は寂しいよ」
「巫山戯るなァッ!」
『グングニル』
私は槍を、デリウスへ向けて放つ。
一筋の光が、デリウスに向かって伸びていく。
そして、“着弾”。
それがデリウスへ直撃したかは分からない。
分かる必要もない。
光の槍の着弾地点を中心に、巨大なドーム状の光が拡がる。
それはまるで小型隕石の落下の様に、周囲を消し飛ばす破壊のエネルギー。
当てる必要など無いのだ。
ただ近くに居るだけで、跡形すら残らないのだから。
光が消えた時、其処には直径100m程の巨大なクレーターのみが残る。
「お仕事終了、と言ったところか」
これでやっとお嬢の屋敷に戻れる。
暫くはのんびりとしたいものだ。
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