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「だから俺、ブタっちが少しでも変わってきてると気がつくんだよ。
もともと超食べるけど、最近はさらに食べるようになったし。
それに、たまにふと悲しい顔をするようになった」
その言葉に心を見透かされてるんじゃないかとドキリとした。
でも、絶対に好きだなんてバレちゃいけないんだ。
私は所詮ブタっち。
気持ちを伝えて、気まずくなって今の関係が壊れるのは嫌だから。
「俺とお前の仲じゃん?何かあったら絶対に言えよ」
ジョイトイが好きだなんて言えるわけないじゃん。
「うん。ありがとう。でも大丈夫だから気にしないで」
「そっか」
そして私たちはまた定食に箸を伸ばす。
本当は好きだって言いたい。
付き合って二人きりでデートだって行ってみたい。
絶対に楽しいに決まってるもん。
でも、そんな夢見て告白しても、玉砕するのが見えている。
ジョイトイが目で追ってるのは細くて綺麗な……私とは真逆の、神埼さんだから。
じゃあ私も痩せたらいいのか?
とも思ったが、標準体重+15キロを落とすのにどれだけの年月がいるだろうか。
痩せる頃にはとっくに卒業して大学生に……いや、下手したら社会人になっているかもしれない。
告白もできない。痩せもできない。
飛べないブタっちはただのブタ。
ブタは大人しく、罵られながらも笑ってすごしておけばいいんだ。
それでも十分楽しいじゃないか。
ソースのたくさんついたハンバーグを一口。
なぜかとてもしょっぱい気がした。
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