標準体重プラス15キロの女

11/17

201人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
「だから俺、ブタっちが少しでも変わってきてると気がつくんだよ。 もともと超食べるけど、最近はさらに食べるようになったし。 それに、たまにふと悲しい顔をするようになった」 その言葉に心を見透かされてるんじゃないかとドキリとした。 でも、絶対に好きだなんてバレちゃいけないんだ。 私は所詮ブタっち。 気持ちを伝えて、気まずくなって今の関係が壊れるのは嫌だから。 「俺とお前の仲じゃん?何かあったら絶対に言えよ」 ジョイトイが好きだなんて言えるわけないじゃん。 「うん。ありがとう。でも大丈夫だから気にしないで」 「そっか」 そして私たちはまた定食に箸を伸ばす。 本当は好きだって言いたい。 付き合って二人きりでデートだって行ってみたい。 絶対に楽しいに決まってるもん。 でも、そんな夢見て告白しても、玉砕するのが見えている。 ジョイトイが目で追ってるのは細くて綺麗な……私とは真逆の、神埼さんだから。 じゃあ私も痩せたらいいのか? とも思ったが、標準体重+15キロを落とすのにどれだけの年月がいるだろうか。 痩せる頃にはとっくに卒業して大学生に……いや、下手したら社会人になっているかもしれない。 告白もできない。痩せもできない。 飛べないブタっちはただのブタ。 ブタは大人しく、罵られながらも笑ってすごしておけばいいんだ。 それでも十分楽しいじゃないか。 ソースのたくさんついたハンバーグを一口。 なぜかとてもしょっぱい気がした。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

201人が本棚に入れています
本棚に追加