標準体重プラス15キロの女

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「それでこのxに5を代入するとあら不思議。なんと答えが!」 「おぉー。なるほどね」 赤点が怖いのかまじめに勉強を進めるジョイトイ。 私もポテトをつまみながら自分の勉強をする。 が、1時間もすれば集中力も途絶え、ペンの動きはゆっくりになり次第に口数が増える。 「で、斉藤が言うわけよ。ちょっと待ったーって」 「あはは。うける」 「あ。ジョイトイもポテトつまんでいいからね」 「お前がほとんど食ってて、もうポテトないじゃねぇか」 「じゃあオカワリで」 「本当、よく食うよな」 「だってポテトは野菜だし」 「……なぁ、本当に大丈夫なのか?」 急に真顔になるジョイトイ。 空気がピンと張り詰めるのを感じる。 「何が?」 「前も言ったんだけど、でも何ヶ月たっても、やっぱりブタっちは悲しそうな顔したままだし。 俺、心配だよ」 思わず、ポテトを注文するために鳴らすブザーへの手がとまる。 私、そんなに悲しそうな顔してるのかな? 「本当に大丈夫だから」 「本当に?」 「ホント。しつこい男は嫌われるぞ。 っていうかさ。 ジョイトイこそ何か悩んでるでしょ」 私は思いっきり話題を逸らす。 「ジョイトイさ。好きな子いるんじゃない?」 逸らしたついでに、神崎さんのことを聞きだすことにした。 辛いことを聞くことになるのはわかってる。 でもジョイトイから気持ちを聞けば、私もスッパリと気持ちに整理をつけられるかもしれないから。
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