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「ちょ、おま!なんでそれを!!」
好きな人というフレーズに、明らかに動揺するジョイトイ。
「ジョイトイが私のちょっとした変化に気がつくように、私だってジョイトイの変化に気づくんだから」
――嘘。
本当はずっとジョイトイを眺めていたから、その視線の先に神崎さんがいたことに気がついただけ。
「なんだよ、気付いてたのかよ。
もしかして相手もなんとなく気付いてる?」
「うん。違うかもしれないけど、隣のクラスの神崎さん?」
「あたり。さすがブタっち」
「そっか……」
やっぱり神崎さんのこと好きだったんだ。
あんなに細くて綺麗な神崎さん。ジョイトイとお似合いだよ。
わかってはいたけれど、思った以上にショックは大きかった。
悲しさがドッと私に押し寄せる。
さっきは気持ちを聞けば、スッパリと気持ちの整理がつくと思ってた。諦められると思ってた。
でもそう簡単には切り替えられないみたい。
胸が締め付けられるように、さらに辛くなってしまった。
いつか、ゆっくりとこの気持ちが消えて、また兄弟みたいな気の合う友達と純粋に思える日がくるだろうか――
「でもさ。片思いって辛いわ」
ジョイトイはため息混じりに話し出した。
「え?」
思わず聞き返してしまう。
……片思い?
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