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「そっか。
じゃあ痩せてからその男にアタックするの?」
「その予定だけど、相手には好きな人がいるから無理かもしれない。
だから、どうするかは痩せてから考えるよ」
志望大学も恋も後回し。
「そっかぁ。
そうなったら俺にちゃんと言えよ。
俺、ブタっちの恋が実るように応援してるから」
「……うん。ありがと」
なんだか胸が苦しくなったけど、笑顔で答えた。
アンタなんだよ。気付けよ、鈍感ハゲ。
やっぱり10円では神様は願い事を聞いてくれない。
「俺さ、正月に神社行ってお参りしてきたんだよ。
合格祈願とダイエット祈願!」
私の気持ちには気付かず、ニコニコと話すジョイトイ。
「は?ダイエット祈願?」
「そう。ブタっちのダイエットが成功しますようにって。
だからブタっちは絶対に痩せて、恋愛も頑張れよっ!」
手をぐっと握り、目をキラキラさせてるジョイトイ。
くそう。本当にこの男は鈍感だ。
私の心を全然分かっていない。
少しイラッとした私は反撃する。
「そっか。ありがとう。
でも奇遇だよねー。私もジョイトイの事を祈願してきたんんだよ」
「え?何て祈願してくれたの?」
「ジョイトイがこのまま順調にハゲますようにって」
「ちょ!ひでぇ!
将来ハゲたらずっと恨んでやるからな」
「恨むなら遺伝子を恨め」
「「あはは」」
冬休みが明けて、久しぶりの馬鹿なやり取り。
やっぱり楽しいや。
やっぱりジョイトイが好きだ。
でもこのバカなやり取りもいつまで出来るのだろうか――
この先の事を考えると気持ちが沈んだ。
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