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雑木林の奥からノソノソとワシに近づいてくる黒い影。
「グルガァ!」
――熊じゃ。
「よぅ、今日も来てくれたかい!ぷぅ助よ」
ツキノワグマの『ぷぅ助』。
およそワシの体二つ分ほどある巨熊で一度襲われた際に時子のおむすびを投げて以来、すっかり時子の飯が気に入ったのかワシに懐いておる。
時子の作る飯は邪気を祓うのかもしれんな。
「そいじゃ、今日もよろしく頼む」
ワシは農具を入れた籠の奥底に隠してある木で作った鎌を二本取り出すと逆手に構えた。
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