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その晩は満月じゃった。つまり奴らがやってくる日。
家の外に出ている者は誰一人としておらん。
その代わりに村の広場には米や野菜、肉、魚などの供物が集められている。
それをワシは家の物陰からじっと見つめていた。
一刻ほど過ぎたじゃろうか、村よりまだ少し離れた岬の方に松明の灯りが見え始める。
――ザッ……ザッ……
集団で行動する奴らが近づいてくる足音はだんだんと大きくなっていく。
そして奴らは広場に到着すると供物を品定めするかのように物色しはじめた。
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