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かぐや姫に似合う殿方は、自分達が見つけてみせようと強く思いを固めます。
そうして、おじいさんとおばあさんは難しいお題を出しました。解かせる気など皆無の問いに、誰もが頭を悩ませ、必死に品物を探したり、恋文を書いたりと忙しく動き回っています。
二人は作り出した簡単には解かせないお題を高々と掲げ、大好きなかぐや姫といつまでも幸せに暮らしていました。
「おじい様もおばあ様も、最近は老けてしまって……情けないです」
かぐや姫は、言葉を続けます。
「元から老けていましたけれど、もうお歳ですものね」
なんとも強烈な発言でおじいさんとおばあさんを見つめ、彼女は溜息をつきました。
「いついなくなってもおかしくないのでしょう? さよなら、なんて私は言いません。お見送りしたくありません」
固まる二人にかぐや姫は、薬を渡しました。
「精々、長生きしてください。お二人がいなければ、私は生きていけませんから」
丸い月を見上げて、かぐや姫は微笑みます。月の光よりもさらに輝かしく、美しい微笑みをおじいさんとおばあさんは、優しく滲む視界を震わせて見つめました。
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