終バスにのってやってきた

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半年前に住んでいた家の前に マツは梅の花が咲いていた頃、これが最後と思い一度だけ見に来た そして今日、 袋小路の片隅でスモモの花が満開に咲いていた・・・ また来てしまった・・・ 玄関には牛の名前「ハナ」を教えてくれた おじいちゃんが山から拾ってきた木の根っこがそのまま置いてある ピンクに咲いた椿はまん丸の蕾をたくさんつけていた 今にも壊れそうなクロの青い屋根の小屋 3年前に死んでしまったクロの小屋 朱色のボケの花が揺れていた 南天の葉も揺れた シュロの木もきしんだ スズランも白く小さく咲いていた ヤマユリは咲き終わって種を付けていた トメ子が初めて食べたアボガドの種を試しに植えた アボガドはすっかり大きく育っていた アジサイの葉っぱも大きく揺れた 壊れかけたトタン屋根ががたがたと音をたてた 二階の窓の簾がカタンと音をたてた 夏の夜、簾(すだれ)越しに街灯のオレンヂの光がマツの寝床にしましまの影を映した そこに足を延ばしてしましまの足を演出してくれた マツは「しましまの足」を作るのに大活躍してくれた簾(すだれ)にお別れをした
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