終バスにのってやってきた

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そして、「 ただいま参ります!」 この玄関から 行ってまいります・・・ 気を付けて行ってらっしゃい 何度繰り返しただろうか・・・ 手漕ぎの井戸水はもう出なかったが 今日は今にも水が汲めそうだった 井戸水の匂いがした。 マツは庭の木々や草花、手漕ぎ井戸、たくさん思い出の詰まった家 家の中の柱に貼ったシールや落書きと階段の桜の木で作られた手すりと 折り合いがついた気がした 玄関に太陽の光が差し込んだ マツには微かにクロが見えた クロは何か言いたげな風だった その時ウメ子からメールが来た! メールを開くと黄色い巻き毛カナリアが飛び出した 「ウメ子が待ってます・・・あの海辺で」というと 黄色いカナリアになって飛んで行ってしまった... 「えっ今から?」と思わず声にしたマツだったが クロも天高く黄色いカナリアの後を飛んでいた マツはウメ子の待つあの海辺へ行くことにした 電車を乗り継ぎ 終バスに乗って・・・
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