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へっぽこ魔王が世界に宣戦布告をしたのは、パソコンスクールで目撃したあの日から大体半年くらい経ったよく晴れた土曜日だった。
「そんな、まさか」
ミートソースにコーヒー、カレーうどん。
お気に入りの真っ白な服が汚れるのを何より嫌うへっぽこ魔王は、厄介汚れ三銃士の敵ではなかった筈だ。
この前、までは。
「ぬるま湯、中性洗剤、酸素系漂白剤、歯ブラシ、重曹。カレー汚れは天日干し」
見違える程に攻撃的な姿勢。
的確過ぎる対応。
汚れを過度に恐れる性格がへっぽこだっただけで、やはり魔王は魔王。
とんでもなく危険な存在だったんだ。
「ネットは便利だ。ググればすぐに答えをくれる」
焼け野原に姿を変えた街。
無残に散っていった仲間たち。
「くそっ、こうなったら」
奴が最も恐れていた攻撃をするしかない。
体に魔力を溜め、一気に爆発させる禁忌の呪文。
飛び散った俺の血で、魔王の服を台無しにしてやる。
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